【完】ボクと風俗嬢と琴の音
西城さんの視線の先、山岡さんが心配そうな顔をしてこちらを見つめていた。
あぁ星の数ほど男も女もいるというのに
俺の掴みたかった星はそれじゃないしあれじゃないし
どれだったのかも分からない。
だってどんなに手を伸ばしても、星には手は届かないし
「晴人くん?」
こちらへ駆け寄ってきた花のような女の子が、心配そうに俺の顔を見上げた。
思わず笑顔を作る。
「今の、西城大輝さんだよね?」
「あぁ、よく知ってるね」
「知り合いってわけではないけど
晴人くんは知り合いなの?」
「知らない、俺は全然あの人を知らない」
そう
俺はあの人の事は何も知らない。
知ってることと言えば
俺の方が背が高いだけ。
仕事も
お金も
見た目も
男らしさも、何も勝っているところはなかった。
ただ、それだけ。