【完】ボクと風俗嬢と琴の音
「何?DVD?」
「そう、明日休みだからね~
何か見たくなって借りてきちゃった~」
琴子がジャンと手にしたのは、プリティーウーマン。
女の子の方がずっと好きな人が多いと思う名作だけど、俺も好きだった。
「大好き~
名作はいつまで経っても色あせないよね~
でも古い映画の方が好き~」
「分かる。一緒に見ようかな」
「うん。一緒に見よう」
口を大きく開けて笑う。いつもと変わらない、琴子だ。
一緒に見ようと言ったらてっきり断られると思ったけど
「おぉ、いっぱい借りてきたな。
あぁ…これ俺も好き。スウィートノベンバー」
「あら、やっぱりハルとは気が合うわね~
でも今日はプリティウーマンね~
何か時々急に見たくなっちゃう」
「おっけ、あ、シチュー食う?」
「食う!」
「コンビニは?」
「これはぁ~お菓子だもん~
ハルの会社の新製品~」
「売り上げに貢献ありがとうございます」
「ははっハルがスーパーにコンビニに走り回って営業してるかと思えば
何かァ、買ってしまいたくなりますわぁ」
「正確に言えばコンビニ本部だけどな」
「うるさいですぅ。
はよシチュー温めろ」
拗ねたら、すぐにぷくっと頬を膨らませる。
その仕草も、笑った時の顔と同じくらい好きだ。
琴音が欠伸をしている姿と、同じくらい好きだ。