【完】ボクと風俗嬢と琴の音
ああああ。またヤッてしまった。
記憶はない。
横には眠っている楓がいる。
綺麗な顔をして、眠っている。
そしてここはラブホテル。
仕事でも利用して、プライベートでも来て何やってんだって感じ。
これは別に楓がわたしに好意があるからってわけではない、
ホストという生き物がこういう物なのだ。
色か趣味がなんてのは知らない。
管理しなくてはいけないほど大金を支払う客ではないし、育てて大輪の花が咲くとは思えない細客。
ただホストは恋愛感情がなくとも枕も仕事の一環で、楓はホストの仕事に命を掛けている程の悪魔でもなかった。
はぁ~~~~。
シャワーを浴びながら、下らない自分にため息は止まらない。
ラブホの少しかび臭いバスタオルを顔にあてても、もう自己嫌悪しかない。
浴室から出て思い出したかのようにバックの中の財布を開く。
サーっと血の気が引いていくのが分かった。
財布の中には小銭だけ、
昨日働いた日払い給料はすっからかん。
細客といえどラストまでいて
ちょっとしたボトルを空ければ魔法のように消えていくお金。