【完】ボクと風俗嬢と琴の音


ホストクラブってそういうもんだ。


楓、ラブホ代くらい持ってるよね?
申し訳ない気持ちでいっぱいだったけど、逃げるようにラブホから出て行ったら外はすっかり朝になっていた。





頭が痛いよう。


昨日のお酒がまだ残っている。
タクシーに乗るお金さえないので、ちょうど朝の通勤ラッシュの電車に吐きそうになりながら揺られている。


これから帰って眠るわたしと
これから出勤する人々。



東京は沢山の顔を持っている人たちの集まりだ。



こんなはずじゃなかった。
けれど全て自分が蒔いた種。
刈り取るのも自分であらねばいけない。


今度こそ真面目に生きる!
そう思って何度同じ朝を迎えてきたことだろうか。


築年数軽く40年はいってそうなボロアパート。
かろうじてお風呂はある。


若い子が済むようなところじゃないけど、一応わたしの居場所。


けど今朝は最悪だ。



堪忍袋の緒を切らした大家さんが家の前に立っていて
ついにその日わたしは家なき子になってしまったのだ。



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