【完】ボクと風俗嬢と琴の音
「おー大輝…」
「おう。何してる?」
「何してるって…寝てる、あなたの嫌いな可愛くない猫と」
「はは……、21歳の誕生日おめでう」
「あれー、あたし大輝に誕生日教えたっけ?」
「夢の中で聞いた」
「なにそれ、ウケる。
ちなみに誕生日プレゼントもクリスマスプレゼントもいりませんっ」
「そうか、でも俺はクリスマスプレゼント欲しいぞ」
「傲慢な男ね。
い~ですよぉ~
大輝にはお世話になってる気がしなくもないから一個だけなら
そんな高くないものでおねが~い」
「好きでいる事を許してくれ」
ぱちりと目を開ける。
胸の中の琴音が「うにゃうにゃ」と小さく唸る。
夢でも見ているのだろうか。
「琴子が誰を好きでも、誰を想っていても構わない。
だから俺の気持ちが一方通行でも、連絡を無視したりはしないでくれ。
友達でもいいから時々会って、そのまま好きでいる事を許して欲しい」
「何……そのプレゼント…」
「俺は女に振られた事がないから、好きになった女をどうやって諦めたらいいか分からない」
「だからちょいちょい自慢が入るところがムカつくね」
「諦められないなら、諦められる日が来るまで好きでいる事は許されたい。
すげぇ謙虚じゃない?」
「本当に謙虚な人は自分で言わない」
「あはは、そりゃーそうだ。
まぁだからアレだ。友達だ。友達なら文句ないだろ?」
「それはいい。
だから大輝はもう、お店であたしを指名しないで」
「きちんと琴子が連絡を返すなら」
「了解。約束する。
友達だもんね」
「あぁ、ありがとう」