【完】ボクと風俗嬢と琴の音
「晴人くん…?」
「あ、何?」
「今日、楽しくなかった…?」
「そんな事ないよ」
俺はここで何をしているんだろう。
何となくここまで来てしまった気がしなくも、ない。
「あ、これ」
山岡さんはバックの中から綺麗に包装された紙袋を取り出して、俺へと渡す。
「クリスマスプレゼント。大した物ではないけれど…」
少しはにかんで、頬をピンク色に染める。
「え?ありがと…う……」
「本当に大した物ではないの。
晴人くんいつもご馳走してくれるからお礼って言うか…
今日も付き合ってもらっちゃったから、好みじゃなかったらごめん」
中からは、マフラー。
琴子に選んでもらった茶色のコートによく似合いそうなマフラー。
ふっと小さく笑って、俺も山岡さんへとプレゼントを渡した。
「気が合うね」
中身はこちらもマフラー。
山岡さんに似合いそうだなぁって思った、春の花のような淡いピンク色のマフラー。
受け取った山岡さんは小さく笑って「あったかい…」とそれを握りしめた。
「ありがとう、晴人くん…」
クリスマスにデートをして
互いにプレゼントを渡し合って
ここまでしといて、ただの友達って訳にはいかないだろう。
そんなん大人なんだから、これからどうするべきかって分かっているだろう。