【完】ボクと風俗嬢と琴の音

「ごめんなさい…」



今日まで気づけなかった事を
今日まで自分に嘘をついて、彼女と過ごしてきた事を



「俺は………きっと山岡さん…が思っているような男ではないと思います…
お洒落なお店も知らないし、あなたが望むような人間ではなくて…
そうだと言うのにプライドが高くて、自分の体裁ばかり気にしている…小さな男です」



顔を上げたら、山岡さんの大きな瞳に涙がいっぱいたまっていた。


「それは……わたしの事を何とも思っていないという事…なのでしょう…か?」


「はい。山岡さんの事は可愛いと思うし、全然嫌いでもないし、むしろ魅力的な女性だとは思います。
俺には勿体ないくらいの…
でも…俺は恋愛としてこれから…山岡さんとどうなるとかは…考えられないです…」


「じゃあ…じゃあ…何でクリスマスに一緒に過ごすなんて…」



全く
全くその通りだ。

本当に
本当にごめんなさい。

断る理由もなくて
好きでもないあなたに優しくしてしまいました。

一緒にいたら、そのうち自然に付き合っていくのかなぁと軽く考えていました。

可愛くて綺麗だから、自分とは合わないと思っても、そのうち好きになれると思っていました。

そもそもあなたが俺を好きになってくれるなんて、夢にも思っていませんでした。




もっと早く手は打てたはずだ。

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