【完】ボクと風俗嬢と琴の音

「ピザを買ってきたのに?」


優弥さんの持っている袋を指さす。


「チキンも買ってきたのに?」


優弥さんはチキンとピザの入っている両手を掲げた。




でーすーよーね?

でも駄目。

ハルがいないとしても、中に入ってしまえばハルの気配に優弥さんならば気づくだろう。
だって琴音だっているし
うーんうーんと頭をひねって良い案を考えている時、だった。



「琴子っ!」



ハルのわたしの名を呼ぶ声が聞こえて
ジ・エンド。

振り向いたユカリと優弥さんは余りにも驚いたのか「「あ!」」声を合わせてそう言って
両手に持っていた袋を落とした。
シャンパンも大きな音を立てて床に落ちた。




「ぎゃー!割れてない?!割れてない?!」


「だ、だいじょうぶ。セーフ!」


「良かったぁー優弥くん」


「良かったねーユカリちゃん。

つーか、晴人……何でお前ここにいんの?」




ごもっとも。



わたしとハル。リビングでふたり正座させられ
何故か琴音もわたし達の隣で座り込んで
事情を説明せざる得ない状況になった。




< 336 / 611 >

この作品をシェア

pagetop