【完】ボクと風俗嬢と琴の音
「琴音ちゅわーん!ひさしぶりぃ~」
優弥さんは両手を広げて琴音を抱きしめようとするが
「シャー!」
琴音…般若みたいな顔してるよ。
「優弥くん嫌われてんのよ。猫ってのは女の方が好きなんだから
琴音ちゃーん」
「フー!」
「琴子、この猫可愛くない」
今度はユカリの方が般若みたいな顔になって、わたしへ訴えかけてくる。
「ごめん、ユカリさん。
琴音は人間が怖いみたいだから、誰にも懐かないんだ。
琴子、琴音をキャットタワーの上にあげて」
「うん……」
「琴子と…琴音…ねぇ…?」
鋭いユカリの視線がハルへと降り注がれる。
優弥さんは未だにこの状況を理解出来ないみたいだ。
観念して、ふたりにこれまでの事情を話す事になった。だってこれ、もうどんな言い訳を言ったってどうしようもないでしょう。
ユカリは少し怒ってたみたいだけど、腕を組みながらも私たちの話を頷きながら聞いてくれた。
「つまりは、お互いの目的の為に同居生活をしているってこと?」
「そうそう。だからユカリや優弥くんが思っている事は全然ナイ
全くナイ。
ねぇ、ハル?」
「そう。ユカリさんが心配しているような関係ではないです、僕たち」
「えぇ~男と女がぁ~?一つ屋根の下で暮らしてぇ~?
ありえないわぁ~俺ならば絶対にヤっちゃうねぇ~?」
優弥さんがふざけてそう言ったら、ユカリは優弥さんの首を絞め始めて
わたしとハルは慌ててそれを止める。