【完】ボクと風俗嬢と琴の音
「だってハル、あんなに頑張って…!
山岡さんの為にお店だって頑張ってリサーチしてさ!
そんなん…酷いよ……」
「うん、でもいいんだ。もう
ありがとう、琴子」
ハルの手のひらがポンポンとわたしの頭を撫でる。
何がいいんだ、バカヤロウ。
わたしが醜い事を思ってしまったからかもしんない。心の片隅で、山岡さんとハルなんか上手くいかなければいいなんて思っちゃったからかもしれない。
それを考えたら、ハルの気持ちを考えたら、涙が出そうだった…。
「つーか、あんたらさ」
ユカリが何かを言いたげに口を開く。
「まぁーもーいいじゃんーユカリちゃんっ!
俺と仲良しのユカリちゃん。
そんでハルと仲良しの琴子ちゃん。
皆で仲よくしたら楽しいじゃん!
とりあえず今日は誕生日とクリスマスなんだから皆でお祝いしようー!
おい。晴人グラスと皿」
そう言って、ハルと優弥くんはキッチンへ消えて行った。
残されたわたしとユカリ。
ユカリは無言でジーっとわたしを見つめていた。だから蛇みたいに睨むなって、怖いって。
ユカリは鞄から煙草を取り出して、火をつけようとした。
「あ!ユカリ駄目。琴音がいるから
煙草はベランダで」
「ちっ」
ものすごーぉく怖い顔で
舌打ちをした。