【完】ボクと風俗嬢と琴の音
「別にもういいよ。ちょっと拗ねて意地悪したかっただけだし。
それに琴子、引っ越してからすごく変わったなぁと思ったし
それはそれで良い事だと思ってたし、あの時のあんたは金があればあるだけ使って、ゴミみたいな生活してたしね。
でもこのマンションで同居始めてからホストにはいかなくなったし、金も貯めるようになって、それに何か楽しそうだし良かったなぁ~って思ってたところだし」
「うん。そだね。
今の生活はすごく幸せ」
「アレがいるからだろう」
ユカリは親指でくいっとリビングへ続く窓をさした。
「そうだね。ユカリには態度は悪かったかもしれないけど
琴音は本当に良い子で可愛くて」
「いや、ちげぇよ。そっちじゃねぇよ」
「は?」
「井上晴人。’ハル’だろ?」
「はぁーーーーーーーーーー?」
わたしは絶対に真っ赤になっていたと思う。
「ユカ、ユカリ…何言って…」
「あたしは琴子の事ならお見通しだから~
い~じゃん~井上さん
それに今がチャンスじゃんかよ~?」
「ナイよ~……ナイナイ。
ほんと…ただの同居人なんだから…
ハルの中でそういう感情は一切無い。
悲しいくらいないんだから…それに変な事をしてこの関係を崩したくない」