【完】ボクと風俗嬢と琴の音
「なぁ?!琴音?!俺絶対出世出来るよな?!
なぁ?!」
「シャー!!!ウーーーー!!!」
琴音の猫パンチが優弥さんの腕に飛んできて
プイっとキャットタワーの小さなお家に身を隠す。
「琴音の、あ、愛のムチ…?」
涙目の優弥さんは私たちへそう問いかけた。
だから私たちはげらげらと笑った。
琴音はその空間で静かに眠っていて
わたし達は4人で下らない事で笑って
ピザとチキンを食べて、シャンパンを飲んで、その時間はすごく楽しくて
ひとりぼっちだと思っていたクリスマスなのに
こんなに楽しい事はなくって
時間よ、止まれ!と魔法をかけてみたけど、時間は止まってはくれなくて
それでもやっぱり楽しくて
こんな誕生日、やっぱり嬉しすぎて。
そして楽しすぎて
優弥さんはシャンパンを飲み干して
冷蔵庫にあった私たちのビールや酎ハイも全部飲み干して
そして
お亡くなりになった。
「だ、大丈夫?ユカリさん。ひとりで帰れる?」
「だーいじょうぶっ!こいつ井上さんみたいにデカくないからあたしでもじゅーぶん運べますっ
ほら!優弥くんしっかりしてよ!タクシーに乗るよ?」
「んぅ~~~もうのめなぁ~~~い」
「もぉーしっかりしろ!」
ユカリが、優弥さんの背中をバシッと叩く。
それを見て、ハルと顔を見合わせて笑った。