【完】ボクと風俗嬢と琴の音
テーブルの上にはホールのケーキがふたつ。
ボンっと置かれた、チーズケーキと、カスタードクリームがたっぷりのイチゴのミルフィーユ。
チーズケーキにはおたんじょうびおめでとう、ことこと書かれたプレート。
ミルフィーユの方には、サンタクロースの砂糖のお菓子とツリーの飾りがつけられていた。
「あっはっはっはっはっはっは」
思わず笑いがこぼれてしまう。
「こんないらねーよー」
「だってプレゼント何もいらないって言うし
ケーキ買ってたらクリスマスか誕生日かわかんねぇし、じゃーふたつ買うかって……」
「ははは…ハルはもう……」
「優弥とユカリさんにも食べてもらおうと思ったけれど
優弥潰れちゃうしさぁ~あ~ケーキふたりでなんか食べれないよなぁー。琴子甘いものは少しでいいんだもんなぁー」
失敗したぁ、とハルはブツブツ言って
琴音はやっと落ち着いたようでわたしとハルの間に挟まれて
どっちの肩に乗ろうかと考えているようだ。
ホールのケーキにフォークをぶっ刺すと「あー何すんだよー」とハルが嘆いた。
「全部食べるよ。
全部……」