【完】ボクと風俗嬢と琴の音
「だからちゃんと見ていろと…」
「だいじょーぶだいじょーぶ。焦げたのは表面だけで食べれる食べれる」
「焦げ焦げ……」
「お雑煮にいれてしまえばわからないやん」
「あ、方言」
「うるせっ」
ベッと舌を出して、琴子が焦げた餅を雑煮の中にいれた。
「「いただきまぁーーーすっ」」
お正月も一緒。
俺が実家に帰省をしないと言うと、琴子も正月の3日間は休むと言った。
店自体は1日だけ休んでそれ以降はやっているらしいんだが(ブラックじゃん)風俗業界とはそういうものなのか、と。
なのでお正月は一緒に雑煮を食って、いつもよりご馳走を用意した。
猫はこたつで丸くなる。
琴音はすっかりこたつがお気に入り。
俺たちは琴音を足で潰さないように気を使いこたつに入っている。
「ねぇ」
「ん?」
「したけって何?」
「したけ?」
「うん。電話切る時したけって言ってた」
「あぁ!したっけね。なんかまたね、みたいな感じ」
「へぇー何か同じ日本なのにウケる。
あたしも今度お母さんに電話かけよっと」
「おう、そうした方がいい」
「別に仲悪いわけじゃないんだよ?
でもまー家出同然で出てきたから。ちょっと気まずい感じ。でも電話したら普通だと思うし
ハルの電話聞いててお母さんの声が聞きたくなってきた」
「案外寂しがりやだからね、君」
「うっせーーー。てかこの雑煮ウマー。めちゃウマー。
雑煮も地方によって全然違うっちゃねー」