【完】ボクと風俗嬢と琴の音
また、吐き気がした。
見ず知らずの男が、琴子のあの華奢な体を好きなように弄んで
自分の欲求を吐き出していく。
「ハルー?」
「あ、ごめん」
「どうした?寒い?」
「いや、全然」
「でも震えてるし」
「大丈夫。なんか最近休み続きで家でダラダラばっかしてるから体がなまってるだけ」
「そっかぁー良かったーじゃー行こうー」
琴子が俺の腕を掴んで走り出す。
やっぱり無邪気な笑顔。
だから琴子があんな仕事をしているなんて、俺はまだ夢でも見ているんじゃないかって
納得出来なかった。
「いえーーーーい!!!」
カラオケ、やっぱり苦手。
まず選曲について深く考えてしまう。
マイナーな曲を選んで、変な空気にさせるの嫌だし
「へぇ、ユカリさん歌うまいなぁ」
「だよねっ。ユカリは本当に歌がうまいの~」
「ハルは~?何歌う~?
アニソン~?あたしも得意だから一緒にうたおーー」
お世辞にも上手とは言えない。
けれど楽しそうに歌うから、何かこっちまで楽しい気分になってしまって
自分が知らず知らずに笑顔になってしまうのが分かるんだ。