【完】ボクと風俗嬢と琴の音
ムードメーカか。
何か優弥と少しだけ似てる。
こういった人種は、自分の役目っつーのが分かっていて、場の雰囲気を和ませるのが上手なんだ。
「優弥さんとカラオケするの楽しっ」
「え?そう?」
「うん。ほんっと優弥さんって盛り上げ上手~っ」
「いやぁ~琴子ちゃんには負けるよ」
「あ、これ歌える?あたしこの歌好きー」
「任せとけーーー」
バレた時はヤバいって思ったけど
こうやって4人で普通に遊べるようになるって、案外楽しい。
たまには、こういうのも悪くない。
琴子も楽しそうに、ユカリさんの隣で笑っている。
「ところでーー
琴子ちゃんって何の仕事してるの?」
琴子と一緒にデンモクを持って曲を選んでいたユカリさんの手が止まる。
でも琴子は静かに微笑みを浮かべたままだった。
一瞬で重くなった雰囲気の中、優弥は「え?え?」と俺とユカリさんの顔を交互に見やった。
「いや、なんか改めて聞いてなかったなぁーって。
ユカリちゃんと一緒のキャバ嬢?
それとも琴子ちゃんってお洒落だから販売員とか?」
「ちょっと、優弥くん」
ユカリさんはきっと
怖い顔をしているけれど
優しい人だ。