【完】ボクと風俗嬢と琴の音
井上晴人
―――――――――――――――――――――――
好きな人は、月のような人です
―――――――――――――――――――――――
山岡美麗
―――――――――――――――――――――――
いがいにロマンチストなんですね
―――――――――――――――――――――――
ふたりで見上げた、あの月を思い出した。
星の数ほどない。
たったひとつの存在。
代わりなんて存在しない
闇夜を静かに照らす
太陽ほど強烈な光りを放っていたわけではないけれど
暗い足元をいつだって照らしてくれた。
君が隣にいてくれたら、いつもの変わり映えのない日常が少しだけ明るくなった気がした。
でも月には
いくら手を伸ばしても
届かない。