【完】ボクと風俗嬢と琴の音
戦争のような場所で
わたしもお目当てのブランドの福袋へ並ぶ。
整理券を受け取って一安心。
けれど、ここでの福袋を買ったら、次のお目当ての場所へダッシュだ。
あそことあそこ、あれもこれも。
だって!福袋お得じゃん。
節約が身に沁みついていた。だから最近は好きな物を買えていなかった。
貯金は大分貯まった。
ひとりでも生きていけるように
でもそれが貯まれば貯まるほど別れの日が近づいてくる。
「よぉーし!次次っ」
そんな想いはもうかき消した。
午前中から並んで
約2時間。
わたしの福袋戦争は終わりを告げた。
そして目の前の男は、死んでいる。
「最悪だ。非常に最悪だ……。
何故この俺が庶民と一緒に福袋なぞ買うために並ばなければいけない…」
「大輝ー本当にありがとー!大輝のお陰でお目当ての福袋ちゃんと買えたよーさんきゅうー」
「そしてこのクソ不味いコーヒーを飲まされ」
「えー不味くないよー?案外美味しいじゃん」
大輝がコーヒーに口をつける。
ここは某有名ファストフード店。
驚く事に、大輝は初めて来ると言う。どれだけ世間知らずのお坊ちゃまなんだか