【完】ボクと風俗嬢と琴の音
「これでお坊ちゃまかと思うと」
「あぁ?なんだ?
こう見えても両親は医者だ」
「あらま、それはそれは~ひとりはみ出してしまったものですねぇ~」
「大丈夫。家は兄貴が継ぐ。
だから俺はいくらでもはみだしていたっていい
はみだしていた方がカッコいい」
「それ何持論ですか?」
「俺持論だ」
「その持論ー全然かっこよくないですねぇ~」
「俺は俺として生きている。
誇りを持てる仕事かと言えば胸を張ってそりゃ言えねぇが
スーパーヒーローを気取るつもりもねぇが
ひとりでも多く、この世界に来た女が幸せな結末を迎える事を願っている」
「それは、カッコいい」
「けれども、この世界に堕ちた女の大半は…幸せな結末を迎えられない例が多いんだが」
「それはね、そうですよ。
ここは理由があってお金が必要で
欲望の渦巻く最下層の世界ですから」
「でも俺は自分が最下層の人間だとしても
ここで働くおめーたちを最下層の人間なぞ思ってはいない。
ここに来る女は大半が誰かの為に自分を消費している
誰かのためではなくとも自分の為であったとしても
やりたくもない仕事をして、きたねー男の物をしゃぶってでも必死で生きるお前たちを
最下層だとは思えない」
「意外に優しいんですね」