【完】ボクと風俗嬢と琴の音

「店長!あたしやっぱり帰る!」


「おぉ…、なんだよいきなりびっくりすんじゃねぇか」


「終電ッ!あぁもうない!
タクシー
じゃあね、店長!」


「何だおめー、暇だから散歩がてら家まで送っててやるよ」


そう言って、店長は車の鍵を指でくるくると回した。


「たくよー帰らないつったり帰るつったり
これだから女は気まぐれでかなわん」


「女とは猫のような物よ。
店長!もっとスピード出して!早く!」


「お前滅茶苦茶言うなぁ…
送ってもらってる分際で」


「いいからーいいからー早く!!」


「ふん、これが俺の最高速度だ。
お前は少し大人しくしていろ」


「早くーーー」


「全くそんなに急いで
誰に早く会いてぇのか分かんないけどな。

あぁそういえば、ミコが店を止めたぞ」


店長はハンドルを握りしめたまま、普通のトーンで言った。


「えぇ?!聞いてないよ?
そういえば最近見てなかった気がする」


「なんだか、すっきりしたような顔をしていたな。
逆に澤田は今でも死んだような顔をしてるけどな。
ケケ、自業自得だっつー話だ。
何だかんだ、こういう時は女の方が強く出来ているらしい。
あれでも結構、澤田はミコの事が好きだったからな」


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