【完】ボクと風俗嬢と琴の音

「そうなの?」


「そうなんだよ。男と女には当人同士にしか分からない事情つーもんもある」


「へぇーでもミコちゃんがすっきりとした顔をしていたらのならそれであたしはいいけどね
澤田くんには地獄に落ちて行ってもらいたいけれども」


「ハハ、そこまで言ってやるな。
あぁミコからお前に言付けがあったなぁ」


「なんて?」


「’ありがとう’だとよ」





幸せってなにかな?ってわたしに聞いてきた弱いミコちゃん。

男に依存する事しか出来なかった。

自分で自分を傷つける事しか出来なかった。

幸せが何かなんて、答えを見つける事はきっと出来ない。

わたしにはわたしの、ミコちゃんにはミコちゃんの幸せがあるのだろうから、きっとこの世界のどこを探しても答えなんて見つかりそうもない。

だけど、ミコちゃんが幸せであるように

祈るばかりだ。





わたしはさっきのユカリの電話を思い出していた。



’何か飲み会で
あんたが風俗嬢だって知ってるって男がいて

早川?早瀬?なんかそんな名前の男

そんで井上さんが琴子と一緒に歩いてるのをみたらしくて

その男がゲスい事を井上さんに言ったらしいのよ。

そしたら、井上さんったらそいつに殴りかかったみたいで、店中騒然としちゃったみたいでさー


あんたの事悪く言われて

井上さんが本気で怒ってったって

優弥くんいわくだけど

最近井上さんはずっと元気がないって’





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