【完】ボクと風俗嬢と琴の音
「なーんともなくって良かったぁー
あのまま琴音の目が見えなくなったらどーしようかと思ったよぉー…」
今日は晴天。
晴天の土曜日。
琴子はお日様の下で本当に安心したようで胸をなでおろす。
昨日はぎゃんぎゃん泣いて
琴音の目が見えなくなるーって騒いでいたからな。
安心してくれて何より。
「ハル、ありがとうねっ」
「いえいえ、先に気づいてくれたのは琴子だし」
いつもと変わらない笑顔を見せてくれるようになった。
俺はもうこの笑顔を歪ませる日が来ることのないように
琴子が悲しくならないよう
もう困らせたりしないよう
想いはずっと自分の中で封印しようと心に決めた。
俺の本当の想いを知ってしまえば、きっと琴子は苦しむし悩むと思う。
それならば、一緒にいれる時間までは、仲良く笑って過ごしていきたいと思ったからだ。
このまま一緒にいれるのならば
その想いは届けぬままで構わない。
「あー、お腹減ったぁ」
「つーかさ、琴子、少し痩せた?」
「え?マジで?痩せたらハッピーなんだけど」
「いやいや、腕とかガリガリなんだけど」
少し前を歩く琴子の腕を掴むと
折れそうなくらい細かった。
元々華奢なタイプではあったけど