【完】ボクと風俗嬢と琴の音
しかーし…
全く想定外だった。
「これ、何?」
今日の俺の帰宅21時過ぎ。
琴子は19時には帰ると言っていたから、何故か気合いをいれて料理を作ると言った。
しかし目の前にはぐちゃぐちゃの肉?の残骸。
想定外だと言ったのは、まさか琴子がここまで不器用だった事だ。
ちなみに、これ、何?と言ってきたのは作った張本人だ。
俺が知るか。
「え~クックパットちゃんと見て作ったと…
何でこんな訳のわからんもんになるんやろ…」
不意に出る博多弁、好きだ。なんて違う事を考えながら、琴子が見ていたレシピサイトを上から覗き込む。
は、ハンバーグ?!だとぉ?このバラバラの肉の物体が
「失敗したみたい。
ハルゴメン…」
「いいよいいよ。大丈夫だよっ
何かよく見るとそぼろみたいで美味しそうだし
全くハンバーグには見えないけど」
そう言ったらムッとした顔をして、頬を膨らませる。
何故かその表情さえこんなに愛らしく思えるんだから、恋というのはもはや病気と言ってもいいのかもしれない。
俺、小さい生き物が好きなのだろうか。
琴子とか琴音とか
拗ねた顔が余りにも可愛らしすぎて、上から頭をぽんぽんと撫でる。
すると更に琴子は頬をぷぅっと膨らませて、頬が段々と赤くなっていく。