【完】ボクと風俗嬢と琴の音

「男の人がダメなんじゃない?
おーい、猫ちゃーん、おいでー!!」


そう言って山岡さんが手を琴音の方へ伸ばす。
すると琴音は「フーーーーーシャーーーーー!!」とさっきよりも大きな威嚇をした。


「こ、琴音!!!」


俺が呼ぶと琴音はこっちに走ってやってきて、肩へとひょいっと乗った。
そして鬼のような形相をして、山岡さんに再び「フーーーー」と言った…。




おいおい、マジか。


明らかに山岡さんはムッとした顔をして表情を曇らせたけど
「嫌われちゃったぁ~」とすぐに笑顔を取り繕った。


「琴音は俺以外の人と会った事がないから!
人が怖いんだと思う!」


「ごめんね~…猫ちゃん~」


謝る山岡さんに対して琴音はシャーシャー鳴き続けた。
…お前…。




何となく嫌な雰囲気になったけれど
コーヒーを出して3人で軽く話をした。
その間も琴音は俺の肩に乗っていて
山岡さんが喋る度にフーシャーと唸っていた。


申し訳ない気持ちでいっぱいだったけど、いいよいいよと山岡さんは天使の笑顔のままだった。


何故だ?!


優弥の事も好きではないらしいが、山岡さんに対しての態度は酷すぎる。
もしかしてこいつ女が嫌いで、やきもちを妬いているのか?!猫にも分かるのか?!


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