【完】ボクと風俗嬢と琴の音
「そういえば、山岡さんもこのゲームするって言ってた。
今度昼休みかぶったら一緒にやろうっと」
「山岡さん?!」
ハルの口から、彼女の名前が出るとは。
「あぁ、最近結構よく喋るんだ。
っていうか山岡さんすっかりキャラ変わっちゃってさぁ」
ふっと小さく柔らかい笑みを浮かべる。
それはハルの好きな笑い方。
けれど、他の女の子の事を話す時にその笑顔を見ると、胸がズキッとしてしまう。
ハルの笑顔はわたしだけの物なんかじゃないのに。
「案外男らしい?
つーかこの間も会社の飲み会で自分は港区女子?つー奴で
良い条件の男を探してるとか言っててさぁ
ブランド物のプレゼントとか貰ったりしてSNSで他の女にマウントをとっている
自分はそういうどうしようもなく嫌な女だって自分で言ってたよ。
俺思わず笑っちゃってさぁ~」
…じゃあ、やっぱりあのアカウントは。
彼女そのものだったのだろう。
「それからは何かサバサバして話しやすいっていうか
良く話すようになった。こっちから振った手前申し訳ない気持ちでいっぱいだったけど
そういう態度でいてくれるから、こっちもありがたいなぁ~ってさー」
「そうなんだぁ……」