【完】ボクと風俗嬢と琴の音
真っ赤になった顔を両手で隠してぶんぶんと両手を振った。

冗談で言ったつもりだったけどそんな反応されると、こっちが恥ずかしくなってくる。
まぁ、わたしのは冗談半分、本気半分なんだけど。



「女の子がそんな事言ってはいけません!」


またお母さんみたいな事を言う。

「…冗談だよ。
そんな童貞みたいな反応すんな」


「童貞じゃねぇーし!」


「聞いてねーし!ハハ、あたし寝るよ~おやすみ~」


「全くもう、人をからかってばっかり。じゃお休み」



 真っ暗な寝室に入ってく。
琴音は既にベッドの上にちょこんと乗って体を丸めている。

琴音の隣にいって、抱きしめると
ゴロゴロと気持ちよさそうな喉の音が聞こえてきた。




からかった訳じゃないんだけどな。
半分、本気。

抱きしめ合いたい。人の欲望は尽きる事はないらしい。
ハルに触れたいし、ハルに触れられたい。
けど、この汚れた手では、ハルの綺麗な心を汚してしまいそうで


ならばいっそ、無理やり奪ってくれたら良かったのに。
遊びで女を抱ける人だったらいいのに
遊びでも、たった一度でも、その幸せがあればひとりぼっちでも生きていけるような気がした。


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