【完】ボクと風俗嬢と琴の音
17.晴人「君は羨望に値する」
17.晴人「君は羨望に値する」
「おぉぉおおお」
自宅に帰って来ると
見事な夕ご飯。
ここ最近、琴子は料理の腕を上げたと思う。
そして
「バレンタイーンチョコでぃす」
そう言って差し出された
可愛らしくラッピングされた包み。
けれど、季節は2月の終わり。
遅い、遅すぎる…。密かに14日を楽しみにしていたけれど、琴子は全くくれる気配はなかった。
「もう3月になるよ…」
「ちょっと事情がありましてーねぇこれ生チョコうまそやない?」
「おおおおお」
「何、いまちょっと形悪いと思った?」
「いやいやこれ手作りでしょ?
琴子最近すごいなぁ~お菓子作りまで始めちゃってさぁ~」
一口含むと、口いっぱいにミルクチョコレートの甘い香りが広がった。
「うまっ」
「マジで?やったぁ~!」
「いや、ガチでうまい。
琴子は料理の味付けも最初から上手だったし、案外料理の才能はあるかも…」
「でもね~レシピサイトとかできちんと作ろう~とか思うけど~
あれって分量とか細かいやん?それがちょ~めんどってなって結局目分量になっちまうんだよなぁ~」
「本当に料理上手な人って目分量で料理作る人が多いらしい」
「そうなん?あたしぃ~O型だから~大雑把なだけかと思っとった!」