【完】ボクと風俗嬢と琴の音
「でも…」
琴子が青ざめた顔をして、言い渋っている。
「何?でも?」
そして段々と涙目になって言って
「事故物件だけは嫌だーーーーー」
「アハハハハハハッ」
思わず大爆笑。
そんな俺に唇を尖らせて拗ねた振りをして
だって幽霊は怖いもん!と力説する。
「ハルと琴音との同居生活が終わったかと思ったら、次は幽霊と同居なんて勘弁だよぉ~!!」
「大島てるのサイトでちゃんと調べておこうな?」
「でも事故物件や心霊のユーチューブは好きなの」
「分かる、分かるよ。ああ言うのは視聴者として見ると楽しいよな!」
「でも自分が事故物件に住むのは絶対に嫌なのー!」
笑っていて、拗ねてみたり、そうやって涙目になって幽霊を怖がってみたり
ほんっと感情がコロコロと変わって行って
見ていて全然飽きない。
まったりと琴音と過ごす時間もとても好きだったけど、琴子が来てから騒がしくなって
騒がしい毎日にすっかり慣れてしまって、こういうのも悪くないって思い始めて
だから、またひとりになったら、どうやって生きて行けばいいんだろう。
「琴子、今度の休みどこか行こうか?」
「いいねぇ~。つ~かハルが外へ行こうなんて珍しいじゃ~ん
どっか行きたいところあるのぉ?」
「ピクニック!」
その言葉に、琴子はアハっと笑った。
俺、そんな変な事言ったか?