【完】ボクと風俗嬢と琴の音
「何よ~、その目はぁ
勝手な想像で山岡さんは料理上手そう(ハート)なんてイメージ作ってんじゃないわよ」
「すすすすいません…」
怒ってるかと思えば、パッと笑って
紙袋に入っている沢山のホワイトデーのお返しを見やった。
中には、山岡さんっぽい可愛らしいお菓子などが沢山入っている。
確かに俺だって前までの山岡さんのイメージはそんな感じだった。
「大体お嬢様なんかじゃないしね」
「そうなの?都内のあんな一等地に立派な家があるから、てっきり…」
「確かにパパは経営者よ。
でも経営者っつっても建築なのー!しかも別に大きな建築会社じゃなくて、中小だし
それにパパは元ヤンで、上品とはかけ離れてるような人柄で
もぉ~うっさいし、酒飲みだし、下品だし~ほんとに嫌ァー!」
「そうなんだ。でもいいじゃん。俺んちの父ちゃんも大工だし。
つっても北海道の田舎の大工だから山岡さんちとは全然違うけどさ」
「晴人くんのお父さんも大工なんだぁ。でもうちは本当に酷いの~
それにママも元ヤンだから…なんていうか怖い。うちなんて喧嘩したら皿が飛ぶからね」
「アハハハハハ~
山岡さんて実はすっごく気が強いじゃん。
それって両親の遺伝なんだね~」
「笑う所ではない」
ぎろりと睨みつけた。
蛇に睨まれたように硬直した俺は「すいません」とまた謝った。