【完】ボクと風俗嬢と琴の音


「お花好きなんだ?桜も好き?」


「もちろん」


山岡さんがにんまり笑った。

基本、この人は良い人なんだよなぁー

絶対素の山岡さんの方が好きな男って多いと思うんだけどなぁ。



「今度お花見するんだ
優弥とか、優弥の彼女さんも来るの。
皆で騒げたら楽しいかなーって。もしよかったら、山岡さんも来る?」



何気ない誘いだった。
けど誘った後に、すぐに無神経な事を言ったかと思いハッと彼女の顔を見る。

この人、多分…俺の事好き…なのかな?
だとしたら琴子も来る花見に誘うのは…あまりにも無神経だ。

けれど山岡さんは嬉しそうな顔をして、目を輝かせていた。あの、大きな目を。



「楽しそう。行きたい…」


「マジ?」


「港区で遊んでる女友達は沢山いたけど…お互いに牽制しあってて本当の友達なんかじゃなかったと思うし
わたし達友達だよね~って笑い合ってても、お互い落としあってるってか…
だから、あんまり友達っていないんだよね。
それに、桜は大好きだし」


「そうなんだ。琴子は超いいやつだからめっちゃ仲良くなれると思う!」


そう言ったら、山岡さんは何とも言えない顔で少し笑って、ビールジョッキをぐいっと飲み込んだ。
おお、見事な男らしい飲みっぷり。

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