【完】ボクと風俗嬢と琴の音
「琴子行くよーーー」
「はぁーい、ちょっと待ってー」
お弁当を持って、外に出たら
春のふわりと柔らかい風が吹いて
過ごしやすい季節になったもんだ。
少し先を行くハルが、太陽の光りを浴びてこちらへ笑顔を向けた。
わたしの名を呼び、見せる柔らかい笑顔。
あぁ…やっぱりダメだ。どうしても好きだ。
暖かい日差しよりも、あなたの笑顔を見るともっと暖かい気持ちになってしまう。
待ち合わせしている駅まで急ぐと、そこには……
優弥くんとユカリ。
そして、イメージしていたよりもずっとカジュアルな格好をしている山岡さん。
やっぱり可愛い!天使みたい!カジュアルな服装でも可愛いって、生まれつき美人の特権よなぁ~。
と、そこまでは良かった。
「何で?!」
わたしが声を荒げた理由。
だって山岡さんの隣に、何故か大輝が立っているんだもん。
何かひとりだけ別世界の人間みたいに、どう見てもお花見に不似合いな格好をして、不機嫌な顔をして立っているんだもの。
あたし誘ったっけ?
いや、誘ってないし、お花見の話さえしてないはず。