【完】ボクと風俗嬢と琴の音
大輝と山岡さんが仲が良さそうで、何だかんだ安心してる自分がいる。
そこにユカリがやってきて、わたしへ耳打ちをする。
「何か美麗ちゃんイメージ変わったね」
「うーん…。あたしもユカリから教えてもらったSNSはとっくに消してるから…」
「あぁ、あれアカウントごと削除されたみたい。
友達にも聞いたけど、美麗ちゃん最近港区でも全然遊んでないみたいだし」
「そうなんだ…」
「しかしアンタ…西城グループの御曹司アンタ狙いみたいじゃないの。
ほんっと秘密主義なんだからぁ~」
「あーそれはぁ…大輝とはただの友達って感じだよ…」
「井上さん、とは?」
「それはもっとただの同居人」
そうだよ。
ただの同居人。
だからお花見に山岡さんを呼んだって、それはハルの自由であって
振られたとしてもここへ来たいと思ったのは山岡さんの意思で
大輝がいるのはいまいち意味が分かんないけど
だから、山岡さんがここにいるのが嫌だっていう気持ちは
ただのわたしの醜い感情なんだ。
「いや~お花見日和ですね~
じゃあかんぱーい!!!」
優弥さんの掛け声で、皆で一斉に乾杯をする。
人当りの良い優弥さんは、それぞれに話を掛けていて、場の空気をよくするのであれば天才的。
偏屈な大輝には人懐っこい犬みたいな笑顔を見せて、話題をふる。大輝も楽しそうで、この人はきっとコミュ力の鬼だ。