【完】ボクと風俗嬢と琴の音
「おおおおおおおおお。すっげぇー」
そして、わたしとハルの作ってきたお弁当を見て
大袈裟に感動をする。
「へぇ、琴子も作ったの?
あんた料理全く駄目だったじゃん」
「へへ、最近は料理の達人なのです。
ねぇ?ハル」
「そうそうユカリさん。最近琴子はすごく腕を上げましたよ」
「それはー師匠が良いのでっすーーー」
「俺が師匠かよ?
あ、お皿足りてる?」
ハルが皆のお皿をチェックして
箸を回す。
飲み物もクーラーボックスで確認して
面倒見のいいやつだ。そういう細やかな気遣いが出来るとこもハルの好きなところのひとつである。
「本当に…美味しい…」
隣に座っていた山岡さんはふわっとした笑顔をこちらへ向けた。
か、可愛い。
こんなん女のわたしでもドキドキしてしまうやないかー!
それでもわたしの中にあった山岡さんへの不信感は拭えなかった。
「琴子さんって料理がすごく上手なのね」
「いや…それ殆どハルが作ったものなので…」
「晴人くんもすごいよね。ちゃんとしてて
わたしって料理がからっきし駄目だから」
「えぇ、そうなんですか?」
意外や意外。
料理の達人ぽい見た目してるくせに。