【完】ボクと風俗嬢と琴の音
「最近山岡さんキャラ変わったなぁ~
何か前より全然いいじゃん」
わたしは、全然そんな風に思えなかった。
自分の中の汚い気持ちが膨れ上がっていって
ハルと笑い合う山岡さんを、どうしても受け入れる事が出来ない自分。
ふたりの事、応援してたのに。
夕方になって片づけを始めて、河川敷を後にしようとしていた時だった。
一緒に片づけをして笑いながら話しているハルと山岡さんを横目に
拗ねた気持ちでいっぱいになっていて
自分の中の僻み嫉みというありとあらゆる負の感情が心を支配していく。
「おう、そこのカップルとクソ女
俺が送ってやっていってもいいぞ」
「マジで~?!西城さんって外車乗ってるんでしょ~?ラッキー」
ガッツポーズを決めるユカリの横で、優弥さんが悲しそうに肩を落とす。
「どーせボクは車さえ持ってませんよぉ~」
「アハハ、優弥くん男の嫉妬はかっこ悪いぞぉ。
それにラッキーじゃん、乗ろ乗ろ」
「おい、アンタは?」
「仕方がないなー。そう言われたら乗ってあげてもいいけど」
「クソ可愛くない奴だな」
「あっ、でも今晴人くんと話してたんだけど、琴音ちゃんに会いたいからちょっと家に寄りたいなぁ~って」