【完】ボクと風俗嬢と琴の音
確かにふたりとも派手で異質な雰囲気だけど
「ユカリで~す!」と明るく自己紹介を始める女は確かに綺麗な女性で
彼女は悪びれもなく「職業はキャバ嬢でーす!」と言った。
き、キャバ嬢?!
産まれてこの方キャバクラになんて行ったことがない俺は
自分とは関わりのない人種の彼女を前に気が引けた。
しかしあっけらかんとして、自分の職業に自信を持って見える彼女は
優弥が言うように綺麗だ。
「明るい感じで、俺結構タイプかも」
優弥マジかよ?!
俺はお前がキャバ嬢と付き合うなんて想像がつかないぞ。
しかし次に自己紹介をした女の子は…………。
「高橋琴子です」と一言だけ言って、つまらなさそうに背を椅子に預けた。
小さな女の子。
ティーシャツにハーフパンツで
金髪に近い長い派手髪をくるくるに巻いていて、ところどころに赤いメッシュが入っている。
自己紹介を終えたらすぐに煙草に火をつけて、ふてくされた態度が
超感じが悪い!
「ないよなー?」
優弥が小さく囁いた。
「ぶっ!」
けれど思わず吹き出しそうになった。
確かに超感じが悪いし、無い。
けれど名前が琴子。琴音と一文字違い。
そして小さくて折れそうに細い彼女の雰囲気が
ふわふわの長い派手髪が
少しだけ琴音に似ているような気がしたから。