【完】ボクと風俗嬢と琴の音


琴子と一緒にいるようになってから、俺は俺自身さえも知らなかった自分を何回も発見していって
前までの自分だったら、こんなに感情を人にぶつけるような事はしなかっただろう。
そもそも自分が我慢をしてその場が収まるのが1番良くて、人とぶつかり合う事を避けて生きてきたような人間だ。


だけど

琴子と一緒にいると自分の中に知らなかった自分が沢山あった事。
知りたくもなかった自分の中にある感情さえ、あらわになっていってしまった。



この間の喧嘩は一方的に俺が嫉妬をして、西城さんに変な劣等感を抱いてしまったから100パーセント俺が悪かったのだ。
けど、今回は琴子も琴子だ。
この間の喧嘩をふまえて、西城さんにも大人な態度を取ったつもりだった。


実際すげー嫌だったけど。


それなのに琴子ときたら、弁当を一緒に作ってる時はすげぇ楽しそうだったのに
いきなり不機嫌になって、その理由も言わなくて
いきなり山岡さんに喧嘩を売るような事を言ったりして。

ほんと、女心って分かんねぇ。





フルーツグラノーラを袋から取り出して
ヨーグルトに混ぜていると、キッチンの上に琴音はちょこんと座って
何もかもを見透かすような瞳でジーっとこちらを見つめてきた。


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