【完】ボクと風俗嬢と琴の音
「おい~晴人~ヤケになるなよ~」
「いや、全然やけになんかなってないけど?
俺は自分に与えられた仕事をこなしていくただの社畜ですから」
「うわぁ~…卑屈~…
琴子ちゃんと仲直りした?
まぁその様子じゃ、仲直りなんかしちゃいないだろうけどさ」
なら聞くな。
渾身の想いを込めて、優弥を睨みつける。
これさえも、子供染みた八つ当たりか。
そう考えれば、俺と琴子だって大した差はない。
「俺には…いくら考えても…琴子が山岡さんにあんな事を言った理由が分からん。
琴子は本来であるのならば人にあんな事を言ってしまう子じゃないから」
「君って~…本当にバカだよね?」
「嫌な事があるのなら直接俺に言ってくれればいいのに」
「だからぁ~…それ本気で言ってるのか?
俺だって琴子ちゃんの立場なら、不機嫌になっちゃうってばよ」
優弥はさも当然と言ったように
俺の顔を真剣に見つめてくるんだ。
けれど、優弥が何を考えているのか、何を言いたいのかは俺には理解出来なかった。