【完】ボクと風俗嬢と琴の音

「何で?」


「お前は、本当に鈍感だね…。まぁそれが良い所っちゃ良い所だろーけど
琴子ちゃんは山岡さんが来るのが嫌だったんだろ。しかもお前それ琴子ちゃんに伝えてなかったんだろ?
ユカリちゃんから聞いたけどさぁ~…」


「琴子が?山岡さんが来るのが嫌だった?
何で?」


「だから何で何でってお前はクレクレ坊かよって。
少しは自分の頭で考えて見ろって。
あ、俺営業周りいってきまぁーす」


「おい、優弥…」



片手をひらひらとさせながら、優弥は会社から出て行ってしまった。

琴子が?
山岡さんが来るのが嫌だった?
どうして?
人懐っこい琴子と、本当の友達なんかいないって言っていた山岡さん。
琴子は飾らないし、物事ははっきりと言ってくれるから、良い友達になれるような気がしていたんだ。
…そんなん、余計なおせっかいだった訳なのか。



優弥の言葉に悶々としながら歩いていたら
会社の入り口に頭をぶつけてしまった。
ガンッという衝撃音と共に、額に言い表せれない激痛が走って
その場にうずくまり、額を両手で押さえる。




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