【完】ボクと風俗嬢と琴の音
18.琴子「子供染みた感情の中で」
18.琴子「子供染みた感情の中で」
消えてしまいたい。とは正にこの事でございます。
「おい、お前…何故ここにいる。
この間もこんな場面に遭遇した気がするぞ。
デジャブか、コレは……」
事務所のソファーで寝っ転がっていたら、上から覗き込む店長の顔。
ムスッとして強面でヤクザにしか見えないこの男が医者の息子だとは思えない。
「そして、店に来ているなら出勤しろや。仕事しろ。
女は足りなくて困ってんだ」
「無理ッ!今日は無理ッ!」
タオルケットを頭からかぶって、子供染みた拒否をして、店長はそれを引っぺがすようにタオルケットを奪う。
「仕事も全部無理ッ!
もう生きていたくないッ…」
「お前なぁーどんな辛い事があっても地に足をつけていきていくのが人間つーもんじゃねぇか。
お前の死にたい今日は生きたくても生きれなかった誰かの今日だったかもしれないんだぞ。なんて寒いぼ立つような事は俺は言いやしねぇけど
死ぬなら事務所で死んでくれるな。イイ迷惑だッ」
「薄情者!!!」
店長の手からタオルケットを再び奪い返し、それを頭からかぶって丸くなる。
…子供か。
呆れたように店長がため息を吐くのが聴こえる。
「6月いっぱいで上がるって決めてるなら、自分が決めた期間までは頑張れよ」