【完】ボクと風俗嬢と琴の音
「んん~おいひぃ~
やっぱりハルのオムライスは世界1だね。
あたしが作ってもこんなに綺麗に半熟に出来ないもん~」
「これはな~コツがあるんだ~
まぁ素人には難しいかなぁ~」
得意になって話し出すハルと、どこにでもある日常。
当たり前に囲みあう食卓を
喧嘩をしたかと思っても、いつもと変わらずに受け入れてくれる優しさを前に
今日こそは素直に気持ちを伝えようと思う。
たとえ’好きだ’という言葉が伝えられなくても、どれだけハルを大切に想っているか
それくらいならば伝えてもバチは当たらないはずだ。
わたしがどれ程自分を変えてくれた、ハルに感謝をしているか。
オムライスを半分食べ終えた後
ハルはまるで何もなかったかのようにいつもと変わらずに笑って、一緒に好きなアニメの動画を見て
新しい漫画の新刊が出たんだって、とりとめのない話をしてくれた。
せめてこの時間だけ。
この時間だけ、この居場所は誰にも譲りたくはないの。
きっと、きっと最後だけは笑って見せるから。
優しいあなたの、幸せを心から願えるような優しい女の子になるから。