【完】ボクと風俗嬢と琴の音


「ハルー?」


「うん?」


名前を呼ぶと、きちんとわたしの目を見て応えてくれた。


「あんな…嫌な事を言って、ごめんなさい…」


そう謝ったらハルは少しだけ苦しい顔をするから、どうしてこの人はそこまで人に優しく在れるのだろうか。


「それは、もういいよ」


「良くないよ。
あれは完全に八つ当たりだったし…
山岡さんに嫉妬してたの、あたし…」


「嫉妬?」


「山岡さんを呼んだっていうのも本当は嫌だったし
ハルと山岡さんが仲良くしてるのを見るのも嫌だった…。
実はハルと山岡さんが何度もデートしてる時から、ユカリから山岡さんの噂は聞いていて
港区女子とか…だからあたしは…ハルにはさすがに言えなかったけど、山岡さんに対してきっとずっと嫌な気持ちがあったんだと思う。
あたしはハルが山岡さんを真剣に好きだと思ってたから、だからそんなハルを傷つけるを傷つけるような人だったら許せないと、思った」


「うん…」


「でも実際会ってみて、全然違う人だなぁ~って思った。
きっと山岡さんはハルの事を本当に好きなんだなぁ~って思ったら
すっごくムカついた。
ハルと付き合う人なら良い人がいいと思ったくせに、実際良い人だったらムカつくとか
あたしおかしいよね?

あのね、それはたぶんあたしの中でハルはすごーく特別な人だからなんだよ」

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