【完】ボクと風俗嬢と琴の音
「大きいのも大きいので不便な事はあるよ。
ドアに頭ぶつけるし
洗い物をする時背をかがめるから腰は痛くなるし
飛行機とかも窮屈だし
ライブとかに行っても後ろの人の迷惑にならないかって気を遣うしさ」
「へーデカすぎるのも困りもんだね」
琴子はけらけらと笑いながら酒をいっぱい飲んで、煙草をスパスパと吸った。
なんていうか、飾らないタイプの子。
見た目は全然違う世界の人間なのに、意外に話しやすい。
初対面で、しかも女の子。ここまで話しやすい人は珍しい。 俺はなんていったってコミュ障だから。
「ね!そのスマホケース
いいね!」
彼女が指をさしたスマホケース。
実はコレ、見た目は普通のケースなのだが、とある人気アニメのスマホケースなのである。
しかも限定品。
あまり人に公言出来る趣味でないから言わないのだけど
特に女の子はアニメなんて子供の見るものだと思っている子が多いから
けれどオタクである自分。
アニメや漫画の類は大好きで
今日も山岡さんが家に来てヒヤヒヤしていたけど
スライド式になっている本棚にはメジャーな物からマニアックな漫画がずらりと並んでいた。