【完】ボクと風俗嬢と琴の音

「あぁ、コレね」


「へへ、知ってるよぉ~!
あたしのスマホケースも見て!」


そこには、俺と色違いのスマホケース。
どう見てもイマドキの彼女が、まさか自分と色違いのケースを使っているなんて…


「あたしも限定色が欲しかったんだぁ…」


「ネットであっという間に売り切れたよね?!」



「そぉそぉ!!
いいなぁ~緑~!めっちゃ可愛いじゃん!」


そう言って笑う彼女の手の中には、紫色のスマホケース。
ちょっと悔しそうに唇を尖らせる。


「ねぇねぇアニメ好きなの?!
あたし漫画も好きでさ!」


「え?!漫画とか読むの?!雑誌とかしか読まなそう…」


「何それ、偏見じゃん……」


「だってファッションとかSNS映えとかにしか興味なさそう…」


「えー?!パンケーキとかタピオカとか?!」


「そうそう!そんな感じ!
おしゃれなカフェとかにしか行かない感じ…」


「全然そんなとこ行かないし…
甘いものも苦手だし…
あたし結構オタクだから!」



話してみると、実に趣味が合った。
メジャーな漫画やアニメから、マニアックな物まで知っている。
もっぱらネカフェでそういった類の物を見ているらしい。


派手な見た目とは、少し違っていた。


全然違う世界線で生きているようで
好きな物の共通項。


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