【完】ボクと風俗嬢と琴の音
「なぁびっくりしたよなぁ~」
「あぁ、うん、だな」
「まさかって感じだよなぁ」
会議用の資料を作っている午後の16時。
目の前のディスクから顔を出して、優弥はいつもと変わらず俺へ話しかける。
上の空で返事をしていた。
「おい、俺の話聞いてる…?」
「うん、良いんじゃない、新商品」
「そんな話してねぇんだけど
最近お前変だぞ。いや元々変わってる奴だとは思ってたけど最近のお前は本当に変だ。
ここ3か月本当に元気がない」
ばちっと目が合ったら、優弥は心配そうにこちらを見つめていた。
「そんなに仕事に身が入らないくらい落ち込むなら自分の気持ちに素直になってればいいのに…」
優弥が言ったのは、琴子の事そのもので
おもむろに携帯を取り出し、こちらへ向けた。
「ユカリちゃんに琴子ちゃんの連絡先聞いたよ」
「いや、いい。
琴子は自分で望んで俺との関係を切ったんだ。
迷惑になるような事はしたくない」
「お前なーーー…」
「いいんだってば。琴子には琴子のこれからの人生があるんだ。
それの邪魔になりたくない」
「つってもさぁー。
俺は琴子ちゃんはお前の事が好きだと思うぞ?
ユカリちゃんに問い詰めても流されるけどさ
絶対琴子ちゃんはお前を好きだ」
「何を根拠に」
俺は優弥の言葉、鼻で笑った。