【完】ボクと風俗嬢と琴の音
…その話は…
事実だ。
事実だが、同じ学部のその子がお昼一緒に食べようと誘ってきて
たまに話す子だったから、ただ単に誘われただけだと思い彼女が俺に気があるなんて知らなかったんだ。
誘ってきたわりにお店はどこでもいいと言うもんだから、じゃあ大学近くの牛丼屋に!って事になった。
それを言いふらされて恥をかいたのは俺自身。
爆笑する女性陣が明らかにドン退いていくのが分かって
山岡さんまでもがぽかんと口を開けて、言葉を失っていた。
穴があったら入りたいとは正にこの事で
それでさぁ~と再び話を続けようとした早瀬を、席を立って止めに入ろうとした優弥の姿が見えた瞬間
ガンッ!!!!!!!
と、ビールのジョッキをテーブルの上に叩きつける衝撃音が響いて
ぴたりと会話が止まった。
シンと静まり返る、圧倒的空気の悪い空間。
そして、目の前にいた琴子がゆっくりと口を開いた。
「下らねぇ。
クソかよ」
静まり返った空間を更に凍り付かせる。
それでも俺はへらへらと笑っていた。