【完】ボクと風俗嬢と琴の音

煙草を灰皿に力強く押し付けると、顔を上げた琴子はじろりと早瀬を睨んで



「人を下げる事でしか自分上げれないなんて、情けない男だね」 と言い放った。



ぽかんと口を開ける早瀬の表情に見る見ると怒りがこみあげてくるのが分かって
止めようとしたけれど、琴子は止まらなかった。



「ダセーって言ってんだよ。
人が何を好きで、何を食べようがいいじゃん。
あんたみたいに上辺だけ取り繕ってる男の方がよっぽどかっこ悪いんだよ!!
周りばっかり気にしちゃって恥ずかしいったらありゃしない!

あんたみたいな男が世界で1番ムカつくんだよ!!」



おいおい、マジか。
凍り付く空気の中で
早瀬の手が今にでも出そう。



女の子だぞ?!


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