【完】ボクと風俗嬢と琴の音


「琴子ちゃ~ん、こっちの掃除もおねが~い」


「は~い!」


「お客様のご案内おねが~い」


「はいは~い!!」


「お会計お願いしま~す」


「は~い!今すぐ!」


ペットホテルとサロン。
そして隣接する猫カフェ。
中々に忙しい店で雑用も多かった。


元々はホテルとサロンだけを経営していたらしい。
けれどオーナーの猫好きからか10匹程度の保護猫を引き取って、そして猫カフェも始めたらしい。
その猫カフェが中々好評のようで、忙しくなったらしい。


オーナーは優しそうなおばあちゃん。と言ったら叱られるかもしれないけど。
そしてその娘さん、そして娘さんの中学生になる娘さんもたまに手伝いをしていて
アットホームで、とても暖かい職場だったのは幸運のひとつだ。


「は~い、皆ご飯だよぉ~!」


猫カフェがオープンする11時前に猫たちにご飯をあげる。
10匹の元気な猫たちがわらわらとわたしへむらがってくる。
この上ない幸福ですわ。ニャーニャーとご飯をせがまれて思う。


ここの猫たちは琴音とは全然違う。幼い頃から猫カフェという空間で全く知らない他人と触れ合ってるせいか、酷く人懐っこい猫が多い。
雄猫4匹と雌猫6匹。それぞれ毛色も違って、好きな遊びも違う。その全てが保護猫らしく、血統書はないらしいが、驚く程綺麗な猫だっている。
琴音のような、毛の長い猫も何匹かいて、その辺のペットショップで売られていても不思議でない程だ。

そう考えたら琴音だって立派な猫だった。


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