【完】ボクと風俗嬢と琴の音
けれどどの猫にも共通していえる事は
血統書があろうがなかろうが、毛が長かろうが短かおうが、雄だろうが雌だろうが
全て可愛い。 中には人懐っこくない猫もいるのだけど、その子だって可愛いところは沢山ある。
全く人生で興味がなかった猫をここまで好きになれたのは琴音とハルのお陰だ。


そして、小さな事を幸福に感じながら今を生きている。


「琴子ちゃんってえらいよねぇ」


お昼休憩をもらってお弁当を食べていると、いつでもお店に出てくるオーナーがわたしのお弁当箱を見てそう言った。


「面接に来た時はイマドキの子だわぁ~って思ったもんだけど
毎日毎日お弁当自分で作ってきてさぁ
今の子はコンビニで済ませちゃう子多くない?」


温かいお茶をテーブルに置いたオーナーは言った。


「いや、昔はコンビニ弁当ばっか食ってたんすよ。
料理なんて卵割る事さえ出来ない人だったし
けれど、とある人との出会いで料理はすごく好きになったし
それに貧乏なんですもぉ~ん、あたしぃ~」


「あらぁ~安月給ですいませんねぇ」


「ほんとですよぉ~
朝から晩までこき使われて
なんてッ!冗談ですよぉ~あたし今幸せですもん~
だ~いすきな動物に囲まれて仕事出来たり~のちのちはトリマーの資格とかもとってみたいなぁ~って」

< 565 / 611 >

この作品をシェア

pagetop