【完】ボクと風俗嬢と琴の音
「明らかに他の5匹より小さくて死にそうだったんだ。
医者は困り果てていて、是非ッとか言って俺に促してくるんだよッ。嫌だっつってんのに!
で、仕方がなくその1番みすぼらしい子猫を抱き上げたんだ。小さくて折れそうだし潰してしまいそうで怖かったんだ。
でも抱いた瞬間、こいつは大きな目を見開いて俺を見つめて、ミャーミャー必死に鳴いて
そして俺の手の中でおしっこを漏らした………」
大輝はその瞬間、顔を両手で覆った。
わたしは笑いを堪えきれなくなっていた。
「そのおしっこは…
俺のスーツを伝い
段ボールの端に置いていた財布にまで…」
「ぎゃはははははは。マジでウケる!
こいつ中々大物になりそうだな」
画面の中、幸せそうな顔を向ける子猫を見て、思った。
「きっとこんな駄目な猫、他に貰い手も見つからないなと思って、気が付いたら持って帰って来ていた。
持って帰ってきたはいいけど、猫なんて飼った事もないし、困り果てて女に預けた」
「彼女に丸投げとか…
最低かよ」
「ちが!彼女なんかじゃない」
「セフレに丸投げとか」
「セフレでもないッ!」
言い方を変えたら、大輝はそれも否定した。
こんな風にあたふたする大輝を見るのも中々新鮮だ。