【完】ボクと風俗嬢と琴の音
大輝の強い言葉に、涙が止まらない。
不憫な恋心に、自分自身で重い重い蓋をしてしまった事。
大切な人だった。
でもわたしの中に、彼へまだ伝えていない、もっともっと沢山の言葉があった。
受け入れてもらえなくても、たとえ振られたとしても、この先ずっと一緒にいられなくたって
それを伝えていたのならば、悔いだけは残らなかったはずだ。
気が付けば、この3か月悔いばかりが残っていたのだ。
その悔いさえ、ハルの為を想えばと言い聞かせて納得して、自分の気持ちから逃げ続けてきたのだ。
どこにいたって、誰と居たって、ハルを探さない日なんて1日たりともなかったのに。
「大輝――あたし行かなくちゃ」
涙は止まらなかった。
ほろほろと温かい雫が何度だって頬を伝う。
誰かを想う涙はこんなにも温かい。それを教えてくれたのも、ハルだったから。
それでも重い腰を上げて、わたしは会いに行かなきゃいけない。
あの日伝えられなかった気持ち、置き去りにしてきた想いを
たとえ彼がどこにいようとも、伝えに行かなきゃいけない。
ハルに、話してない話が沢山胸の中にある。